小さなミスターがネトゲやリアルで奮闘する御話


by inuis31
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復讐と鬣のロンド 四

 四話 戦争の宴後半


 戦場は相変わらず悲鳴と怒声と鉄が触れ合い奏でる交響曲が響いていた。
 戦いの中。ベゼルは僻地を巡回しながら敵兵を倒していたのだが、
「お前は・・・ ・・・誰だ?」
 渦巻く戦塵の中ベゼルは倒れ伏しているフランを見つけ、抱き起こしていた。
 その二人のすぐ傍には、常人の二・三倍も背丈がある巨大な男が立っていた。
 男は身長と比べれば細身で、黒衣の服を纏い。露出するはずの部分は満遍なく巻かれた包帯に隠されていた。
「殺す奴等に教える名は無い」
 男は顔に巻かれた包帯の隙間から怪しく光る赤い眼でこちらを見据えていた。
 ベゼルは男を一瞥した後、重傷のフランをゆっくりと地面に寝かした。
「別にいいさ。殺した後に調べるからな」
 ベゼルは抜刀した。
「お前にできるかな?」
 男は人形のように顔を傾け可笑しく笑い、手に持つ特注の鎌を握った。
 初めに仕掛けたのは、ベゼルだった。
 剣を地面の上に走らせ、素早い一閃を男の足元から放った。
 男は傾けた頭の方へ身体を倒し、かわした。
 遅れて動いた黒衣の端は剣によって引き裂かれた。
「何故そんなに怒る?」
 男は足に力を入れて倒れる身体を止め。上から鈍重な動きで鎌を振り下ろした。
 ベゼルは咄嗟に盾を構え、身を庇った。
 だが、鎌によってもたらされた一撃は想像以上に重く。ぶつかり合った武具はにぶい音を放ち、周囲にこだました。
 ベゼルは鎌に押されながらも顔を引きつらせ、笑った。
「へっ、相棒がやられて黙ってられるほど利口じゃないのさ」
 ベゼルは盾を斜めに傾け、横に跳んだ。
 対象物を失った鎌は風を切り、刃の半分まで地面に突き刺さった。
「なるほど。つまらん男だ」
 男はゆったりとした動作で地から鎌を引き抜いた。
 べゼルは聞いているのか、聞いてないのか。剣の柄に力を込めた。
 そんなベゼルに、男は再び鎌を振った。
「脇が、がら空きだ!」
 ベゼルは迫る鎌の刃を通り越し、男の無防備な懐まで走った。
 勢いをつけたベゼルの剣は黒衣越しに男の肉を抉った。
「なるほど。筋は良い」
 男は身体に刺さった剣を気にせず、平然としていた。
「だが我には勝てぬ」
 男はベゼルの手と剣を片手で握ると、もう片方の腕で鎌を振り上げた。
 ベゼルは振り上げられる鎌を見上げ、必死に男の手を払おうとした。しかし男の馬鹿がつくほどの握力から逃れる事はできなかった。
「ここで死ね」
 振り下ろされた鎌はベゼルの鎧も肉も骨も関係なく切り裂いた。更に、重い一撃はベゼルの身体をいとも簡単に揺らし、吹き飛ばした。
 吹き飛ばされ倒れたベゼルは身体を強く地面に叩きつけられ、起き上がることができなかった。
「刃を逸らしたのか?」
 男は血の滴る鎌を見ながら、息絶え絶えのベゼルを見て言った。
「急所を狙ったつもりだった。苦しまぬように」
 男は一歩一歩とベゼルに近づいた。
「けれども死ねば、皆同じ!」
 男は鎌を振り上げ、振り下ろした。
 その時、確かにベゼルでも急所を外し生き残ったとしても。次の一撃で死ぬであろうことは分かっていた。それでも生への執着か、はたまた勝負を諦めない意地なのか知らないが避けた。
 朦朧とするベゼルは薄らぐ視界の中、中途で鎌を止める人間の姿を見た。
「戦いとは何が起こるか分からぬのぉ。そうは思わんか、ベゼル」
 筋骨隆々、スキンヘッドに長い白ひげ。そして何よりも着ている服はパンツだけの一張羅の姿。
 ベゼルは顔見知りだけど他人の振りをしたい格好の男が立っていたのに気付いた。
「カール大佐?」
「何!?」
 男は驚きの声を上げ、身体に似合わぬ跳躍力で間合いを離した。
「カール大佐。噂では過去の分からぬネツァワルの国王と古き戦友であり、『英雄の時代』の生き残り・・・ ・・・か」
 男は呟いた後。鎌を下段に構え、大佐に臆せず再び迫ってきた。
「ならば共に死ね」
 男はあえて大佐を狙わず、先にベゼルを倒そうと鎌を向けてきた。既に意識が無いベゼルには、避けられない。
「させると思ったか。若造」
 大佐は回りこみ、自身の両手武器でこれを受け止めた。
 長い柄の先にトゲトゲしい鉄球を持つ『エオスポロス』。大佐はその武器から片手を離すと、男に刺さった剣を捻って抜いた。
「ぐ、お」
 男は痛みで身体を崩し、再び後ろに跳んだ。
 大佐は抜いた剣を倒れているベゼルに返してやった。
「痛いか。今度は痛む暇をやらんぞ。そして、逃げ場もな」
 大佐が言うと、三人を囲むようにネツァワルの兵が近づいてきた。どうやら大佐が共に連れてきたようだ。
「ここは引いた方が得策か」
 男は凄まじい跳躍でオベリスクの上に飛び乗った。
「だが覚えておけ。これはただの序章に過ぎぬ。真の戦いは、これから」
 男は再び飛び退いて、崖の上に降り立った。
「我名はヴァン。エルソード国の兵である。復讐の為に・・・ ・・・また会おう愚か者ども」
 ヴァンと名乗る男は高笑いを残して崖の向こうに消えてしまった。
 

あとがき
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by inuis31 | 2007-04-26 00:22 | 小説

復讐と鬣のロンド 三

 三話 戦争の宴、前半


 見上げる高さの雲は気の向くままに浮かび、その間からは淀みの無い青空が見える。
 鳥が飛び、風がささやき、時間はゆったりと流れている。
 しかし地上では、空と対極であるような残虐な光景が広がっている。
 真紅の血が舞い、鉄の刃が踊り、戦場を覆う戦塵が充満している。
 場所は乙の字型をした崖の上、唯一無二の前線がぶつかり合い。激しい戦火が上がっている。
 だが崖の下は至って平穏で、暇そうなグラムの顔が見られた。彼女はマネージャーを通じ、既に新兵として戦場にいた。
「私達は戦わなくていいのですか。ベゼルさん」
「良いんだよ。これも作戦と役割の一つだ」
 グラムの隣には、若干眠そうな顔をしたベゼルがクリスタルの近くで腰掛けていた。
 戦争の方はと言うと、相変わらず押したり引いたりの決定打の無い駆け引きが起こるばかりであった。
 もちろん。それは崖上で行われている戦いのみのことである。
「例えば、崖下に降りてくる兵を少しづつ始末したり、オベリスク破壊や建設を目的とした一団の進行を阻止または遅らせたり。一番はやはりキマイラの足止めだろうな」
 つまり、暇ながらも重要な拠点であるのだった。
 グラムは聞いた後、健全たる顔で、
「よく分かりません!」
 言い切った。
「・・・ ・・・」
 これ以上説明する事も、説明の仕方を考えるのも面倒であったベゼルは問いを無視した。
 視線を逸らし、適当に動き回る眼球は、前線から押し出されるように落ちてくる女の兵士を捉えた。身形からして敵兵のようだ。
「短剣オンリーのスカウトみたいだな。距離とブレイク技に気をつければ大丈夫だろう」
 ベゼルは腰をあげ、手を叩いて土を払った。
 それは別に、戦いを始める準備などでは無く。単なる自然な動作であった。
「良し、行ってこい。グラム」
「ええ!? 何で私なんですか!」
 文句を言うグラムに眠そうで面倒臭そうな顔が振り返った。
「いいから行ってこい。実力試験だ。そして命令だ!」
「うわ、権力の横暴反対!」
 そう言いながらもベゼルは上官。グラムは部下。命令を逆らうと後が怖いので、グラムは歩を進めた。
 しかし、途中で止めた。
「行って何をすればいいのですか?」
 ベゼルは問うグラムに対して、不可思議な物でも見るような顔をした。
「決まってるだろう。殺すか、または死なない程度に痛めつけて捕虜にするかだ。だがな、捕虜なんて降参した相手ぐらいじゃないと無理だな」
 ベゼルは言い終わらないうちにグラムの背中を突き飛ばした。
「ほら、行け」
 心の準備も無く押された背中はよろめき、背中から地面に落ちて転がっていった。しばらくして、止まった。
 当然、敵のスカウトはグラムに気付き、視線を向けた。
「あ・・・あの」
 立ち上がったグラムは何故だか敵に剣を向けず、女のスカウトに声をかけた。もちろん相手は返事をしなかった。
 代わりに、素早く距離を詰めると両手の短剣を回転させ、グラムに切りかかって来た。
 グラムは突然の動きに辛うじて反応し、間抜けな格好で横に転がった。
「何するんですか!」
 戦場では当たり前の行動に、グラムは驚き叫んだ。それをベゼルは呆れた顔で眺めていた。
「おいおい。戦う気あるのか? 敵はハイドで姿消してるぞ」
 その言葉に、グラムは周囲を見回した。傍には攻撃を仕掛けてきたスカウトがおらず、グラムは完全に敵を見失っていた。
 未だ姿を発見できないグラムの後ろから、ハイドのスカウトはゆっくり近づいた。そして、素早い動作で跳びあがり短剣を振りかざした。
 しかし、更にスカウトの後ろには気配を見せずに移動していたベゼルがいた。
「おら!」
 振り上げた盾を渾身の力でぶつけ、スカウトは身体をくの字に曲げながらグラムの頭上を越えた。
「あまり調子に乗るなよ。それにしても、ハイドサーチもできないのか。グラム」
 グラムは恥ずかしそうに頭を掻いた。同時に吹き飛ばされていたスカウトが地面に強く叩きつけられた。
 スカウトは殴られた脇腹を擦りながらも、不時着からしばらく経たずに起き上がりベゼルを睨みつけた。
「そう睨むな。お前とコイツの茶番劇はもう終わりだ」
 急に、ヒュと乾いた音がしたかと思うと、女のスカウトに無数の矢が突き刺さった。
 スカウトは驚きと痛みを堪えながら身体をよじり、上を見た。
 そこには高台から弓を構えた兵士が複数と、ソーサラーの姿が見られた。
 女のスカウトは慌てて逃げ出そうと足を動かした。だが頭上から雷が落とされ、後ろから炎の一撃を喰らい。最後に逃げられないように氷で身体の動きが封じられた。
「留めは俺がやる」
 ベゼルは抜いた剣で後方の味方を制し、女のスカウトに近づいた。
 スカウトは息絶え絶えになりながらも、短剣を振り最後の抵抗を試みていた。
「・・・ ・・・」
 ベゼルは無言のまま剣を振って短剣を飛ばし、返す刃で首を突き刺した。そして、強引に捻って抜いた。
「う・・・ ・・・」
 声さえ出ない女のスカウトの代わりに、グラムは吐き出してしまいそうな呻き声を飲み込んだ。
 ベゼルは首から真紅の血を吹き上げるのを気にも留めず、グラムに振り返った。
「最初は気持ちが悪いだろうけど、そのうち慣れるさ。戦場で死をまともに受け止めると精神持たないぞ」
 ベゼルはグラムを気遣って声をかけた。
「どうしてですか・・・?」
 グラムは下を向いたまま、声を発した。
「人の大切な命を何でそんなに簡単に奪えるんですか!」
 グラムは、本気の顔で怒っていた。
 ベゼルは少し驚いた顔で、しかし漂々とした態度をしていた。
「何言ってんだ。兵士が敵を殺すのは当たり前だ。相手もこちらも国のためや、はたまた大切な何かの為に戦ってるんだ。同じ立場なのに哀れむ必要は在りもしない」
 すんなり言ってのけた後、少し寂しそうな顔をした。
「失った事が無いから言えるんです! そんな理由、私は認めません!!」
「そうか・・・ ・・・」
 ベゼルはゆっくり納得したような顔で頷いた。
「なら去るんだな。臆病な建前を通すお前に、戦場を駈ける資格は無い」
 ベゼルはそのまま後ろを向き、グラムの顔も声にも二度と反応しなかった。

「建前だけじゃ、平和を守る事さえもできないんだ」
 後ろからグラムの反応が消えたのを確認して、ベゼルは立ち止まった。
「けれども、グラムの言う事にも一理あるんだろうなぁ・・・」
 そう思うと、どうしようもなくグラムの言う事は正しく。ベゼルは自問自答に押し潰されそうになった。
 ただ、正しくても現実にならないだけの本当は当たり前に正解である願い。
「それでも俺は、守りたい全ての者の為に戦うしかない」
 諦めなのか決意なのか、どちらにしろ今はそれで良いと結論づけた。
 風が吹き、更に激化する戦いにその身を投じるために、ベゼルは再び歩き出した。
 

あとがき
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by inuis31 | 2007-04-22 17:29 | 小説

復讐と鬣のロンド 二

二話 木の棺桶


 箱の中には所狭しと敷き詰められた花と、少女がいた。
「・・・ ・・・は?」
 果物や野菜を入れるよりも死体を入れるのに適した。いわゆる棺桶という類の木箱の中に、それはあった。
 当然、開いた当人であるベゼルは驚いた。箱の中にいる少女はと言うと、死んだように、または死んでいて動かなかった。
 聞いただけではまさに王子様と眠り姫。そんな場面ができた原因は、ベゼルとフランが護衛した馬車にあった。

「あんまり品物に触ってくれるなよ」
「そう言われましても・・・、こちらもネツァワルの兵として積荷の検査をしたいのですが」
「うちの商品に怪しい物なんか無いよ! たく、国軍の兵だから送ってやると言ったが好き勝手されちゃ困るよ」
「いえ、こちらは一応護衛のつもりで―――」
「護衛は間に合ってるよ! 迷子さん」
「・・・ ・・・」
 慣れない丁寧語で適当に商人の機嫌を取ろうと思っていたベゼルと、未だに不信感を露にしている商人。
 結局の所、商人に二人が必要の無い場所にいる警備兵、イコール迷子の兵だと看破されてしまい。役には立たないと、馬車の後ろに追いやられてしまっている。
 ついでに言うと、馬車の後ろについて来るゴブリンやオークなどの調教された護衛に厳つい顔で監視されている。
「いや、やはり荷物の検査は兵士の務めだと・・・」
「商品に傷を付けたらアンタに請求するよ!」
「・・・いや、それは勘弁」
 汚名挽回とまで言わないが、兵士としての威厳を保つため任務に励もうと思うのだが。商人らしい言い返しに阻まれているのが現状であった。
 ベゼルは触らないで荷物を見回すと、エルソードで獲れる魚介類の干物やカセドリアで採られる珍しい果物類にホルディンの農民が作った新鮮な野菜までもあった。
 どれも食料のほとんどを他の国から来る行商人に頼るネツァワル国行きの商品だった。
 ただその片隅にある変わった形の木箱に違和感を感じたが、調べる事は出来ないので止めた。
 それにしても、
「眠いなぁ・・・」
 フランに連れられて散々迷い歩かされたベゼルは、体力の限界を感じていつの間にか横で寝ているフランに肩を貸して眠ってしまった。
 ―――それからしばらくして、
「ちょっと兵士さん。着きましたよ」
 愛想の無い声にベゼルは眼を開くと、馬車は既にベインワットの領内に入っていた。
 ちょうど馬車が止まっているのはグレートブリッジの中腹である。
「ああ、どうも送ってくださって」
「金にもならないお礼はどうでもいいよ。あんた兵士なんだろ。ついでだ、この木箱を王様に届けてくれよ」
 言い終わらないうちに商人は木箱と共に二人を馬車の外へ放り出した。
「さ、差出人は!?」
 ベゼルの意向を無視して遠ざかっていく馬車に向かって、精一杯の声で問いをかけた。
「さぁな。確かヴァンとか言ってたよ」
 商人は問いに対して吐き捨てるように答えると、馬車を引きつれ人ごみの中に消えてしまった。
「・・・参ったな」
 届けてくれといわれても一般兵士が王様に謁見する事の難しさは誰にでも理解できる無理な注文である。
 しかし、時々街に顔を出すエリス様ならまた別の話である。
 とりあえず、中身を確認しておこうと思い。ベゼルは箱の蓋に手をかけた。

「・・・ ・・・は?」
 ベゼルはまた呟いた。
 見た所、フランと同い年ぐらいの少女は花と一緒に入っていた。少女は栗色の長い髪を持ち、傍らには細身の刀剣『夕張』があった。
 ベゼルは少女が奴隷や怪しい実験に使うような商品かと思うのだが、身に纏う服装はやけに質が良い。
 ならば何故、どうして箱の中で眠ってベインワットに入って来たのだろうか。
 ただ一つ言える事は、
「これは、不法侵入という奴なのか?」
 その時、走馬灯にこの後の結果がベゼルの頭の中で過ぎった。
 不法侵入を許してしまったベゼルは減給に厳罰、酷ければ階級を下げられる。下手をすれば、少女を拉致するような非道と勘違い。そして退職。
 実際そうなるのか、ならないのか確証は無いけれども、ベゼルは最善の方法で事態を処理する必要があった。
 だが、
「よく寝た~」
 頭を捻って考えていたベゼルを無視して、少女が起き上がる展開が起こってしまった。
 半身を起き上がらせ、眠そうな顔で周りを見る少女とベゼルの眼が合った。
「・・・ ・・・」
「・・・ ・・・」
 一瞬、沈黙が漂った。
「な、名前何て言うんだ?」
 とりあえず周りの視線が少ないといえども、沈黙を守っている訳にはいかず、ベゼルの方が口を開いた。
「グラムです。あなたは?」
「俺はベゼル」
 と、悠長に自己紹介。
「むぅ」
 そんな最中で終にフランが起き上がった。
 フランも半身を起こし、眠そうな顔で周りを見ると傍の二人に眼が合った。
「・・・ ・・・」
「・・・ ・・・」
 再び沈黙が流れた。
「その子、誰?」
 何故か飛んでる小さい虫が落ちてきそうな殺気を放ちながら、フランは訊いた。
 問いかける言葉は驚くほど静かだが、鎮魂歌のように聞こえ逆に怖かった。おそらく、ベゼルが見た走馬灯の後者の理由が怒らせているであろう。
「待て、怖すぎるぞフラン」
「私は至って正常ですよ?」
「口調、変わってるんですが」
 怖い、本当にフランが怖い。ベゼルはフランから距離を離し、橋の瀬戸際まで後退して策を考えていた。
 理由も言えないベゼルに、フランは段々と顔を強張らせていく。ベゼルは色々な意味で「ここまでか!」と思ったのだが、
「あの~・・・、新兵募集はどこでしょうか」
 遠慮深いグラムの言葉がベゼルを救った。
「へ?」
 ベゼルは驚いて、フランは「ああ、そうか。早く言えば、良いのに」と先輩面して、グラムはキョトンとしていて・・・、
 つまり万事が上手くいった。
「私、住む国もなくて難民に近いんです。だから国に仕えたい、と思って」
「そうか。なら、こっちに来て」
「・・・ ・・・ははは、フラン。人を疑うのは良くないぞ!」
「うるさい。一遍、パニっとく?」
「すいません」
 ベゼルとフランとグラムは愉快そうに話しながら、棺桶の傍を離れていった。
 残された棺桶は半分開いたまま、強い風に吹かれ蓋が空中を舞った。
 蓋の裏側に書かれた『Vengeance』の大きな血文字は誰にも読まれず、川の中に落ちて沈んでしまった。

あとがき
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by inuis31 | 2007-04-18 01:04 | 小説

復讐と鬣のロンド

一話 始まりは森の中


 何時間経っただろうか。
 緑色の怪しげな液中で血肉と骨は分解され、魂は行く当ても無く浮遊している。
 異形の肉片と彷徨う魂は、地を這う獣、ひ弱な老人、年端も行かぬ可憐な少女、屈強な男、エトセトラ。
 数千の肉片は一つの肉体に凝結しあい、器を求める魂達は先を争い殺し合う。
 その中で一つだけの魂が生き残り。今、強き肉体と精神を得ている。
 力を得た魂は、脳髄を這いずる怨讐と怨望が成すべき事を囁き出す。
 成すべき事、それはただ一つ―――
 復讐だ。

「とりあえず・・・」
「何?」
「どうすればこんな場所に来れるんだ?」
 男のウォーリアーと女のスカウトがたたずむ場所はうっそうと木々が生い茂る深い森。
 周りは背の高い木が大きく枝を伸ばしているため、暗い。
「当然、歩いたから来れた」
「・・・。一応行っとくが俺たちは痩せた草木の生えた荒野の真ん中にいたんだぜ?」
 おそらく、そう遠くは無いだろうか。
 この二人が元々いた荒野の戦場があり、二人はその場で戦っていたのだが、
「道に迷ったな」
 周囲を一瞥する男の名はベゼル。見た目は年若く、青いクセのある前髪を持つ。
 腕は立つのか、身に付けている防具には年にもよらず。幾千の戦いで受けた無数の傷が目立っていた。
「まぁ、慌てても、しょうがない」
 ベゼルの肩を慰めるかのように叩いたのは、白いツインテールと灰色のマフラーが特徴的な少女だった。
 見た目的な年はベゼルよりも若い。
「言っとくが、迷ったのはお前に責任があるぞ」
「なんで~」
「お前が確信有り気に『こっちだこっちだ』と手を引っ張って敵の僻地に潜り込もうとしたじゃねぇか!」
「ぁ・・・、あれはベゼルも賛成したじゃん」
 フランは気まずそうに明後日の方向を向いた。
「俺の賛否を、お前はその小さな耳で聞いてたのか?」
 ベゼルはおもむろにフランの耳を引っ張ると、フランは逃げるように跳び退いた。
「でも、きっと。あっちに行けば、森から出られる。はず!」
「・・・自信を持って推量系で言うな」
 あえて自己責任の逃避を続けるフランに、ベゼルは言うのも疲れたような顔で頭を掻いた。
 再度周囲を見て、木に登ろうかと思案している時。
 とても唐突に茂みが乾いた音を立て、揺れ動いた。
「・・・ ・・・?」
 ベゼルは訝しげな顔つきで茂みに振り向き、剣と鞘の触れ合う音を極小に抑えながら抜き取った。
 そのまま空中でゆらりと剣を舞わせ、静かに茂みに向けた。
「・・・ ・・・」
 剣をゆっくりと左右に振りながら茂みからの訪問者を待った。けれども何者も顔を出さず、沈黙の時間が続いただけだった。
 それを確認したベゼルは何の躊躇も無く、しかし慎重に茂みの中に顔を入れた。
 顔を入れて、それでも中に何もいないのを確認して、更に奥の茂みの反対側にまで顔を押し入れた。
 すると、そこには盗賊のような被り物と大きな鼻が特徴的な生き物が。
 つまりゴブリンがいた。
 ゴブリンは茂みが動く音に反応してこちらに視線を移そうとしていた。
 音への反応は早かったものの。ベゼルは条件反射で顔を引っ込めたので、ゴブリンは茂みが揺れ動いたようにしか見えていなかった。
「どう?」
 首を引っ込めたベゼルの後ろでフランの小声が聞えたが、返答は返さなかった。
 代わりに、小さめな声と手の動きで素早く状況伝えた。
 それと合わせて、気付かれると厄介なので念のため先に倒していこう。と云う指示も飛ばした。
 指示を受けたフランは無言でうなずき、短剣を逆手に構えた。
 鉄の掠れる音でフランの準備を把握したベゼルは軽く振り上げた手を茂みに向かって前へと振った。
 同時にフランは強く地を蹴って茂みの葉を吹き飛ばし、茂みの向こう側に飛び出した。
 遅れてベゼルも茂みの上を強力な跳躍で跳び越す。
「・・・あ」
 だが目指した場所にゴブリンは居らず、代わりに上品な服を纏った商人が入れ替わっていた。
「あわわわ!」
 着地地点が商人の居場所とずれているベゼルはともかく、フランは急激な状況変化に対応ができるはずも無い。
 突進の勢いを乗せた身体は商人を吹き飛ばし、あろう事か馬車に激突した。
 馬車はミシリ、と重い音を立てフランは頭を抱えながら傍でうずくまった。
「と、盗賊だぁー!」
 商人はよろめきながら立ち上がり、慌てて荷車の上に逃げ込もうとした。当然、急に強盗の様に押しかけられれば誰でもそう思う。
 ベゼルはそこで慌てず荷車の後ろに回りこみ、商人にゆったりとした口調で話しかけた。
「旅の商人様。先ほどの非礼をお詫びします。我々は怪しい者ではありません。今しがたこの付近を警備していた正真正銘のネツァワル国の兵であります。どうか警戒を解いてください」
 ベゼルは証明するかのごとく、肩に刻まれた紋章をさり気なく見せた。
「そ、そうでしたか」
 商人はまだ疑い深い視線を投げかけてくるが、それもしょうがない。
「やれやれ、俺もフランを攻められる性質じゃないな」
 小声で呟くベゼルは雇われたモンスターと共に旅をする商人のキャラバンを見回した。

あとがき
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by inuis31 | 2007-04-15 21:47 | 小説
 今回で買うのを最後にしようと思っていた電撃オンライン。
 でも、vol.11で休刊するので思っていた意味がかなり無かったりする・・・w。
 さて、なにやらDOGデザインのアイテムが付くとか付かないとかを聞きながら買ってみたところ、実際に防具四点のシリアスナンバーが付いてたり。
 ・・・・。
 五月のアップデートで実装するとか―――。
 ・・・・。
 き、期限あったらどないしようorz。
 期限あったら最終日だけやろうかな・・・と本気で悩み中。
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by inuis31 | 2007-04-04 13:58 | 何となく