小さなミスターがネトゲやリアルで奮闘する御話


by inuis31
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復讐と鬣のロンド 最終話


 十一話 エピローグ

 生まれはゲブランド。育ちもゲブランド。私はそこで貧乏であっても、誇りを忘れぬ貴族の家系だった。
 たとえ貴族の優遇措置が撤廃され、広大な屋敷の管理できずとも、商人に頭を下げてまで生き延びる事を選ばなかった。
 父も母も誇りのうちに餓死し、路頭に迷っていた私と兄は国を離れた。
 誇りのうちに生き残る事を選んだ後。兄は勤め先を見つけ、私は兄の言われるまま馬車に隠れネツァワル国に向かった。
 まさかその時、既に兄は復讐の算段をしているとは考えもつかなかった。

 グラムの兄、ヴァンが考えた作戦は至ってシンプルで大胆不敵なものだった。
 まずヴァンが指揮する隊が海から通じた洞窟の出口を確保し、本隊の到着を待ち。一挙にベインワットになだれ込む。
 だが、その作戦は脆くも崩れ去った。
 後々になって黙認していたナイアス王に代わり、その部下達が「反逆者ヴァンによる暴走」として侵略行為を全面否定。
 付け加え、ヴァンの指揮下にいた捕虜達の返還を求めた。
 その中に、グラムの名は入っていなかった。
「国家反逆罪により、貴殿を栄誉ある磔による非公開処刑とする」
 風呂もトイレも付いていない簡素と言うよりも貧乏臭い檻の中。盗みをして、人を殺して、人を欺いて、そして国を裏切った者が入れられる監獄。
 私。つまりグラムは最終的にベゼル達ネツァワルの味方をしたが、敵国に肩入れしたその罪は重かった。
「処刑執行はすぐだ。出て来なさい」
 城を守る兵がよく身に付けるような鎧と兜に細長い槍を持った男は、令状を綺麗に畳み檻の鍵を開いた。
 虚ろな眼差しをしたグラムは抵抗する素振りも見せず、ゆっくりと入り口の狭い扉から出てきた。
「ついて来なさい」
 兜を深く被って顔の見えない男は、それだけ言って背を向け歩き出した。
 もし、この時グラムに生き残ろうとする気力。または死を恐れて逃げ出そうと思ったならば、後ろから男の首を絞めそのまま逃げれただろう。
 だがあえて、グラムは何もし無かった。逃げたくも無かった。
 今更逃げたところで、グラムに生きる理由など無い。それどころか、自分の死に場所を求めたい気分でさえあった。
「これは、私の個人的な興味なのですが・・・」
 無言のまま歩いていた男は突然顔半分グラムに向け、話しかけてきた。
「貴女のお兄さんは復讐心があったそうですが、貴女自身はどうなのですか? できれば今までの経緯とか、それらを私は知りたいのですが・・・ ・・・ダメですかね」
 別に断る理由も無かった。
 身も知らずその男に、もうすぐ死ぬであろうグラムは自分が没落した貴族であったこと。兄はそれでゲブランド国以外の国も恨んでいた事。自分はネツァワル国に移住した時点では知らなかった事。
 意味も無くグラムは言語を垂れ流すように、男に聞かせた。男は背を向けたままで適当に相槌を打っていた。
 吐き出すようにそれらを言い終わった後、男はまた口を開いた。
「重ね重ね失礼ですが。私はベゼルさん達の知り合いなのですけれど、彼らのことを―――」
「失礼と思うなら聞かないでください」
 グラムは男の声を遮った。
 グラムにとって国の汚名を着ることよりも、裏切られたと思っている仲間のことを思うほうが辛かった。
 ましてや、他人に聞かされた話でそれ以上に思われたくは無い。
 それらを踏まえた上で、グラムは答えを返した。
「兵士さん。これだけは言っておきます。私はベゼルさん達を今までの誰よりも大事な仲間だと思いました。今もそうです。私の気持ちは死んでも変わりません」
 その私は、もうすぐ死ぬのである。
 男は、なるほどね。と適当に相槌を打った。今の精神不安定なグラムはその顔をズタボロに切り刻んで晒してやりたい心境であったものの、自分の犯す罪でこれ以上ベゼル達に嫌われたくなかった。
 近づく死は怖くない。ただこれ以上、此の世で心を傷つかせたくない。
 それがグラムの最後の願いだった。
「この先です」
 グラムの前を歩いていた男は突然横に下がると、半開きになった扉を指した。
 言われるがまま、グラムは迷わずゆっくりと踏み出し扉の向こうへ歩いた。
「ああ、しまった」
 グラムが扉から外に出てすぐ。男は下手な芝居を演じるようにわざとらしく頭を抱えた。
「これは困った。ここから先は私達衛兵の管轄外の上、出入りできない場所。このままでは罪人に逃げられてしまう」
 ・・・ ・・・。
 この馬鹿は何を言っているんだろう。と、グラムは正直にそう思った。
「困った困った。そうは思わないか? グラム」
 男は笑いながら頭に乗せた手で兜を脱いだ。
 作ったような丁寧語では無い。男の普段の声は、グラムの聞きなれた声だった。
「グラム。俺は最初っからお前がお前の意志で裏切ったなんて、毛頭に思っちゃいないぜ」
 兜を脱いだ男の素顔は、ベゼルであった。
「ベゼルさん・・・ ・・・?」
 グラムは訳も分からず。と言った風に首を傾げ、ベゼルを凝視した。
「おいおい。それだけか? もっと感動的な言葉とか、感謝の意とか、笑えない冗談ですよ~。とか言ってみたらどうだ。俺はお前を―――」
 そこでベゼルは言葉を止めた。
 なぜなら、こちらを見ているグラムが首を傾げたまま薄っすらと頬に涙の跡がついていたからだった。
 真新しい涙の跡から、留めなく滴が垂れ落ちた。
「私・・・ ・・・。何て言うか。その、あの、ごめんなさい。じゃなくて、何だろ。私、裏切ることしたのに、私」
「だから言ってるだろ。俺はお前を恨んでも拒んでも憎んでもいないって。悪いのは空の上にいるらしい、悪戯好きなクリスタルの神様だけだ」
 何も無かったように言い放つベゼルを見て、グラムはどうしようもなく声が言葉にならず。涙も止められなかった。
「そこにある馬車に乗ってすぐに国外に出ろ。どの道もうこの国に住む戸籍も荷物も無いから心配事も無いだろう。後はよろしく頼むよ行商のおっちゃん」
「おうよ」
 荷台の向こう側から顔を出したのは、グラムの入った棺桶を運んで来た行商人であった。
「だがな、仕事が終わったらちゃんと後金払いなよ」
「分かってるって、おっちゃんこそ兵士に捕まって仕事を台無しにしないでくれよ」
 何故か、グラムの知らないうちに逃げる算段が既に揃っていた。
「あの、あの、あの~」
「分かってるから。ほら」
 何かを言い出したいグラムの意向を無視し、ベゼルは衛兵が出る権限の無い場所を当たり前に進み。グラムを担いで荷台に放り投げた。
「グラム!」
 荷台に乗ったグラムを確認して、馬車の歯車はゆっくりと回りだし、進みだした。
 グラムは不恰好な体勢から身体を起こし、荷台の後ろから身を乗り出してベゼルを見た。
「ベゼルさん!」
「おうよ!」
 気軽に声を返すベゼルに向かってグラムは何かを言おうとした。
 だがそれよりも早くベゼルは口を開いた。
「お前が俺たち仲間と一緒に暮らせる平和を、俺が作ってやる。その時は帰って来い! そしたらお前が言いたかった言葉をちゃんと聞いてやるからな」
 ベゼルは大きく手を振り、呆然としかし内心嬉しさで満たされたグラムの姿が消えるまで見つめた。
 荷台の影が消えた後。
「あ~あ、罪人逃がしたら罰せられるよな。降格か実刑か罰金、でも終身刑と死刑は困るなぁ・・・ ・・・。ま、どうでもいいや」
 ベゼルは適当に笑ってその場を後にした。そして、そこから見上げた空は嬉々として、明るかった。

 何時の日か、ベゼルが思い描く。秩序と平和の世界が訪れるまで。
 彼女はこの青い空の元で、待っている。






 上手に書き上げました~(モンスターハンター(以下MH)風に)
 そういえば、中の人が小説を書くキッカケになったのはMHの二次創作物に影響されたのが始めでした。
 まさかその時、MHを書き上げないでファンタジーアース(FE)を書くとは思ってもいなかったと思う。

 さて、復讐と鬣のロンド。ついでに言うと、ロンドは回旋曲という意味があります。何故つけたかというと・・・・特に理由はありません。(;´ω`)
 ただ一つ言える事はカッコイイと思ったからかなw
 題名付けるのって中々難しいなぁ~~(ォィ
 毎回の話の題名も内容以上に考えるとか考えないとか(どっちだ!
 題名は良いとして、中身について。
 当初は、ベゼルとフランが迷子になっては同じでしたが。
 道端でばったりで話の核心人物に会うのは微妙と思い。急遽棺桶詰めを編み出しました。
 それによって完成予定が大幅に遅れたのは内緒ですw
 そして、カール大佐。彼は出番が余り多くありませんでしたけれど、自分的にはあのハードな肉体を使ってもっと動かしたかったです。
 ボツ話に彼の奇怪な行動が結構書かれていましたが、色々な意味でやっぱボツ (こんなの他人に見せたらお嫁にいけないw
 冗談は良いとして、ヴァンについて。彼は話の当初から決まっていた敵役でしたが、最後の最後まで生かすか殺すかを迷いました。
 何だか人の命を弄んだ気分w
 でも、実は彼は―――的な話が頭の中に詰まっているけど書きません。
 ラスト。
 これを拝読してくださった方皆様にお礼を言わせてもらいます。礼儀上(ぇ
 本当なら、自分で書いて自分で勝手に褒めとけ~。と思っている方もいると思いますが、全くモってその通りです。今は、残念ながら。
 ですが、何時かきっと他者も満足する作品を必ずや書き上げたいと思います。
 どうぞ、冷ややかな眼で次の作品をお持ちください。
 でも、次のFEZ二次小説は〇験終了後だと思います。
 では~。


 と言う事で、感想・批評お待ちしていますw
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by inuis31 | 2007-07-07 00:00 | 小説