小さなミスターがネトゲやリアルで奮闘する御話


by inuis31
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復讐と鬣のロンド 七

 七話 復讐の火種


 日が落ちたベインワットは暗かった。
 一日の仕事を終えた商人達はグレートブリッジの上にいない。代わりに物音一つしない暗闇の向こうに、グラムが居た。
 傍らの松明に顔を照らされ、その顔は考え事をしていた。
「私には家族も友達も地位も富みも・・・ ・・・。全てを失っているのに、何故ですか」
 海辺であった大柄な男、ヴァン。彼はグラムのことを知っているようであった。
 珍しく先輩であるフランが一緒に食事を取らないか、と聞いてきた。だが今は、愉快に話しながら食事の気分にはなれなかった。
 フランと別れたグラムは、ただ何もせず彼のことを考えていた。
 考えていると、唯一知っている男性の存在が頭をよぎったが体格も顔も違いすぎた。
 やはり、あの男の人違いであろうか。
「何を考えておられますか」
 不意に闇の向こうから若い男の声が聞えた。
 グラムはビクリと身体を震わせ、声が聞えた方向に眼を凝らした。
 そこには見慣れぬ鎧を着こなした若い風貌の兵が立っていた。
「ごきげんようお嬢さん。そして、さようなら」
 男はゆっくりと大斧を持ち上げた。
「私も何かと忙しいので、遊ぶつもりはありません」
 男は大斧を振り上げ跳躍し、グラムとの距離を瞬間的に縮めた。
 グラムは頭で考えるよりも早く左腕を動かすと、大斧と自分の間に盾を滑り込ませた。
 盾と斧はぶつかり合い。盾を伝って鈍い衝撃が全身を震撼させた。
 グラムは後ろに跳び、右手で刀を抜いて構えた。
「ネツァワルの兵ですか? そうであれば許します。でも違えば許しません」
「今更訊くのですか。敵か味方か問わずに飛び掛る者は敵ですよ。戦争と同じ様にね」
 男は話しながらゆっくりと足を動かす。グラムもそれに合わせてにじり足で下がった。
「中々用心深いお嬢さんですね。これでは間合いを詰められませんよ」
 男は言いながらもまた一歩近づき、グラムもまた下がった。
「しかしですね」
 男がグラムに進める歩が早くなる度に、グラムも素早く後退した。
 その距離は一向に縮まらない。しかし、永遠に逃げられるものでもない。
 グラムは大股で進む男に対して再び退いた。けれども後ずさりする背中が壁にぶつかり、動けない。
 グラムは心の中で自分の浅はかさに舌打ちした。
「ほら、もう逃げられない」
 男は最初の一撃と同じストライクスマッシュの構えを取った。
 グラムの方は盾を装備しているため、バッシュで迎撃できるものの。身体にエンダーペインをかけていない以上。失敗すれば敵のコンボで致命傷になりかねない。
「先ほど言うとおり、私はそんなに暇まではありません。私の任務を完遂するために人を探さなくてはいけません。では、終わりにしましょう」
 男は足を踏み込み、今にもグラムの懐に飛び込もうとしていた。
 ―――死ぬのですか、私。
 グラムは心の中で呟いた。
 ―――私が死んだら、私を失ったフランさんは悲しむかな、泣いてくれるかな。大佐はどうだろう、抱きしめてくるだろうから嫌だな。
 グラムは口元で少し笑った。
「余裕があるのですか」
 男は勘違いしたらしく、怪訝な顔をした。
 ―――でもベゼルさんはどうかな? 私が思うに不精面して立ってるだけかな。
 グラムは考えている内に、喧嘩したまま謝っていないベゼルの顔が思い出された。
「相手もこちらも国のためや、はたまた大切な何かの為に戦ってるんだ。同じ立場なのに哀れむ必要は在りもしない」
 ―――そう言っていたような気がする。
 自分もその中に入っているだろうか。それとも違うのか。もはや確認する事もできない。
 グラムは無言のまま涙した。
「どうやら怖気ついたようですね」
 男は勝ち誇った顔で大斧を振り上げ、飛び掛ってきた。
 その距離十五歩弱。
 ―――負けられない。
 グラムは盾を捨て、両手で剣を構えた。
 残り十歩。
「勝負さえ捨てたのですか。愚かですね」
 男は嘲け笑いながら、すぐ傍まで近づいてくる。
 グラムは再度、鞘に剣を収めた。
 顔には決意の色が見え、右手でそっと刀を掴んだ。
「私はもう何も失わない!」
 瞬間。男の眼前からグラムが消えた。
 代わりに男の身体から血が迸り、地面に崩れ落ちた。
「何が・・・、起こったの、ですか」
 男は手に滴る大量の血を見て、自分に深々と刻まれた傷を知った。
「か・・・、片手剣には、無い技です、ね。驚き、ました・・・ ・・・よ」
 男は言い終えると、身体に纏う全身の生気が消え去った。
 グラムは男を背に、刀を抑えたまま身を縮めていた。
「フーッ、フーッ」
 グラムの両眼は恐れと興奮で瞳孔が開き、息を荒げていた。
 鞘から覗く刃は血がこびり付き、グラムの勝利をせせ笑うように紅く煌めいていた。

 しばらくして、身体と心を落ち着かせたグラムは後ろを振り向いた。
 男は血溜りの中うつ伏せに横たわり、心臓は鼓動を止めていた。
 グラムは動かぬ人間の姿を見ても恐れない自分に恐怖し、身体を強張らせた。
 その後、男の鎧から覗く白い封筒に意識が向いた。
 男の話から密書であろう、と見当をつけたグラムは血で汚れぬよう慎重に封筒を抜き取った。
 一応確認のつもりか、グラムは封筒から綺麗に手紙を取り出した。
 ところが、内容を見始めたグラムの顔は豹変した。その顔の色は焦りと驚きに満ち。身体は凍りつく。
 そのまま陽が山頂の上から覗くまで、グラムは衝撃の余り、動く事ができなかった。
 





 今自分は普遍的駄作を書いているのか、それとも感情の歪みで自分には良作と見ようと心がけている三流作品なのか・・・。

 自虐的なチスターです。今晩は。
 最近カウンターらしき物を発見してみたところ、何とこのブログは既に1000ヒットしていたそうです。
 多いのか少ないのか終始気付けなかったのですがねw (今も分からないけどね・・・
 さて、今回の七話。そろそろフィナーレは近いっすよ~。という感じなものかな?
 感情描写に―(ダッシュ)を使ってよかったのだろうか? と考えながら書いた一作です。
 まぁ、今は作風の模索中ですから許される・・・ ・・・わきゃねえかw
 次回作は日曜ぐらいに投稿したいと思いますので、期待してくれる人が少なくてもがんばるよー! (ぅぅぅ・・・
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by inuis31 | 2007-05-16 21:55 | 小説